きのこもぐら

活動報告

業務上横領の話

派遣で事務員をしていた時の話です。
 

卸業の会社に、ベテラン事務員さんの退職に伴う臨時の人員ということで派遣されました。

卸売はメーカーから商品を仕入れて、小売店に売る仕事です。
最初は言われる仕事を必死にこなしていたのですが、そのうちに気付きました。
仕入れ担当と販売担当は完全に分かれているのに、自分だけが両方やっているんです。

 

私の担当していた商品には他と違う手続きがあったりしたので、
一人の担当が把握していたほうがいいという判断だったのかもしれません。
あるいは最初は扱っていなかった商品を扱うようになった際に、
業務に詳しいベテランさんがとりあえず臨時に両方担当してたのが
何となくズルズル続いて後任者に引き継がれたりしたのかもしれません。

 

ここでタイトルの話です。
卸業は仕入れて、利益をのせて、客に売る仕事です。
商品は右から来て左へ流れていきます。最終的に残るのは書類だけです。
何故だか私は仕入れ伝票も売上伝票も、両方を書くことができます。

 

頭悪いからよくわかんないけど書類上のお金を生み出せるのでは?
場合によっては少額だけど現金も扱うので、何なら現金も生み出せるのでは?
ダブルチェック機能が無いわけではないけど工夫すれば誤魔化せそう?

 

臨時の派遣が入って半年で気付いたのは、
横領の機会って意外とそこらじゅうに転がっているんだなあということです。

とはいえ頭が悪くて度胸のない私は悪事を働くことはできず
機を見てベテランの先輩に報告しました。

「前任のベテランさんは信用があっただろうし
私は度胸と知能が無いのでできないけど
システム的に横領やり放題っぽい気がするので
今後この位置に臨時の派遣を入れるのはヤバイ」

 

それからしばらくして正社員の打診があったんですが
恐らく仕事ぶりよりも未来にあり得たかもしれない横領を
未然に防いだってことを評価されたような気がします。
もしくは正社員にするから横領すんなよ!だったかも?

ちなみにそこから半年くらいで辞めたんですが、
私が辞める際に私の担当は複数人に割り振られて
横領はできないように改善されてました。

 

数字の入力を少し間違えただけで数十万数百万の誤差が出る仕事でした。
書類上の金額に対する感覚が鈍くなっていく中で、数百円くらい、数万円くらい、となっていく人がいるのは分かります。
最初は不正のできないように構築していたシステムも、人の異動やシステムの変更などで穴ができることもあります。
ニュースで見るような数億円の横領も、こういう積み重ねで生まれていると思うと
完全に防ぐのはなかなか難しいのかもしれません。